あなたがデザインしたそれが世界のデザインの平均値を下げていないか?
デザインにまつわる先人の言葉。
「あなたがデザインしたそれが世界のデザインの平均値を下げていないか?世界中のデザインを施されたものに、品質や美しさの平均値が仮にあったとして、その平均値を下げてしまうくらいなら、あなたはそれをなんとかしなければならないし、できないなら、タンスの片隅に引っ込めてしまうのが良い。」(1982, eokte ich mohri)
今も昔も自分が作ったモノを世に出す際に、必ず脳内に響き渡る先人の言葉です。この教えを守るには、広く世の中のデザイン(表層的なものでも、仕組みとしてのそれにしても)を追いかけていかなければならないし、おそらくその平均値とやらは変動するし、そもそも平均値の話は仮なので結局は自分の納得感みたいなことになるし、正直いろいろとしんどいのですが、自分が納得できないものを世に出すくらいなら、と思い意識するようにしています。
デザインの品質について、ロジカルに語れる部分はある程度定量的に語れるものの、定性的な部分、特に見た目や感性の部分に関しては、その担保はデザイナーの良識というか善意に任されている部分が多く、正解はない部分でもあるので、自分の中で明確な基準をもち、常にアップデートしていくことがデザイナーには求められると思っていますが、これもなかなかしんどいです。
一番しんどいのは冒頭の引用の先人が実在しないことです。平均値を下げないようにがんばります。
ホキ美術館に行ってきましたが、主にごはんの話をします。
千葉県千葉市にホキ美術館という美術館が存在します。千葉市だったかな。よく覚えていません。東京駅からだいたい1時間ほどです。
その特徴的な外観と、まるで写真のように精密な写実絵画の展示、そして都心からのアクセスの悪さで有名な美術館です。東京駅からだいたい1時間ほどです。
ごはんの話をします
おいしいやつです
こちらもおいしいやつです
ひとは肉を食べるとよく働くことが知られています
友人はパスタを食べていましたが肉を選んだ僕はたいへんな勝ち組となります
そろそろお腹もいっぱいになってくるのがひとの常なので、前夜に浅草でみかけた猫の写真をどうぞ
最後はドルチェスイーツデザートを食べます
おいしいですね
ホキ美術館について
と、併設されているレストランのクオリティが凄まじく血迷いましたが、美術館自体の建築と収蔵作品のすばらしさもまた凄まじいものです。
外観はこの様になっています。
入り口
正面
真正面
設計は日建設計というところで、特に建築家の名前を前面に押し出した美術館ではないというところも好感があります。空に張り出した部分も展示スペースで、自然光を取り入れる設計となっているそうです。駅から車で5分くらいの普通の住宅街に唐突に出現する異様な建造物はかなりのインパクトがあり、時間をかけても行くべき美術館のひとつかな、と思いました。唯一難癖をつけるとすると、美術館周辺の雑草が伸びまくっていて、外観と調和していなかったところくらいです。それ以外はパーフェクト。そして併設レストランのごはんがおいしい。復唱します。併設レストランのごはんがおいしい。
収蔵作品
図録より。
五味文彦さんの作品
島村信之さんの作品
「嘘みたいだろ...絵なんだぜ...それ...」というくらいに精密に描かれたまるで写真の様な写実絵画が展示されています。写真の登場以後、写実表現は「用」としての意味を失い、特に日本において戦後は印象派の潮流が強く、かつ日本人の好みにもあっていたため、こういう写実専門の美術館は日本でもここだけだそうです。精密でリアルな表現は単純な驚きをあたえるので(若冲とかダリとか)好きなジャンルなのですが、もっとメジャーになって欲しいと思っています。巡回展もやる様なので期待しています。
ごちそうさまでした。
デザインと言葉
デザイナーとしてユーザーインターフェイス(UI)を考える時、画面に配置される各要素の言葉の取り扱い(ラベリング)について深く考える機会があり、僕の中で言葉を選ぶ時に明確な基準がいくつかあるという気づきがあったので書き残しておくことにします。
テキストはUIの最重要項目かもしれない
前提として、個人的見解なのですが、デザイナーはラベリングについて慎重に丁寧に時間をかけて熟考すべきで、デザインを考えている時間の8割はこれについて考えているほうが健全なデザイナーであると思っています。
僕はラベリングを考える時にふらふら歩きまわって考えることが多いのですが、おそらく社内の人には不審がられていると思われます。
例えばFacebookの新規投稿の未入力状態(プレースホルダー)は「今なにしてる?」ですが、これが「最近起こったことは?」や「昨日の思い出を残しましょう!」となっていたらFacebookというサービスの提供する価値や使われ方を変えてしまうのは容易に想像できます。それだけサービスやプロダクトにおける言葉づかいは重要だったりします。
以下、ラベリングについて大事にしていることです。
言葉づかいのテンションを定める
これが一番大事だと思っていて、サービスやプロダクトの目指す方向性による決めの部分が多分にあるところです。唯一ロジカルに決めることができないところでもあります。どれだけユーザーに馴れ馴れしく接するか、と言っても良いかもしれません。距離感というか。
例えばあるサービスの登録画面のボタンで考えてみると、
- 登録する
- はじめる
- 今すぐはじめる
- さあ はじめよう
- 無料ではじめよう!
- 今すぐ無料ではじめよう!
- さっそくはじめてみる(永久無料)
極端で雑ですが、こういうパターンが考えられます。上から下に向かって作り手の押し付けを感じると思います。ユーザーへのどれだけ馴れ馴れしく接するかは、信頼感とのトレードオフで、慎重に決める必要があります。
作っている側はやっぱり使ってもらいたいので「今すぐ」とかすぐ使ったりするんですが「今すぐすぐ使っちゃう問題」と業界ではよく議題に上がります。嘘です。「無料」もよく使うんですが、こちらをつけると登録率が上がるのは知られている話です。こちらは本当。
話が逸れましたが、ユーザーへの馴れ馴れしさや距離感をどの位置に定めるかはとても重要で、これがサービスやプロダクトの言葉づかいの根底となります。
非言語化できないか意識する
言葉での表現を回避できないかを常に意識するのも重要と思っています。ラベリングを考える前に、ラベリングしなくても伝わらないかをちゃんと考える、ということです。
ピクトグラム(非常口のサインのアレです)に代表されるように、誰が見てもわかるような図形の表現に落とし込めれば最高なのですが、ハンバーガーメニューの例で言うように、なかなかうまくいかないのが常です。Facebook・Twitterなど世界中で使われているアプリでも、ツールバーのアイコンの下に補助的にテキストをつけていたりします。Instagramは写真を軸にした非言語コミュニケーションなので、UI上のテキストをうまく排除できているように思います。
日本語特有の問題の回避
日本語はひらがなカタカナ漢字という複雑怪奇な編成のため、場合によってはとても読みづらく、かつ固い印象を与えることがあります。漢字で表現できることをあえてひらがなやカタカナにすることを「ひらく」と言ったりするのですが、
- 下さい -> ください
- 始める -> はじめる
- 有り難う -> ありがとう
としたり、
- 百万円 -> 100万円
- 簡単 -> カンタン
- 新規登録 -> サインアップ
などです。「登録有り難う御座いました。今後も弊社製品をご愛顧頂きます様宜しくお願い申し上げます」とかいわれると逆に胡散臭く感じるたぐいのそれです。
ユーザーの気持ちや状況を考える
ある画面を表示したときのユーザーがどういう状況を持って開くのか、文脈を考えてラベリングを決めることも大事だと考えています。
例えばLINEのような頻繁に使うメッセージングアプリで、メッセージ送信のプレースホルダーが「さあメッセージを◯◯さんに送りましょう!」だったら暑苦しい感じが強すぎるし、アイドルとチャットするサービスでメッセージ送信のプレースホルダーが「コメントする...」だったら熱量が少なすぎる可能性があったりします。言葉づかいのテンションとも相関しますが、ここらへんも大事です。
まとめ
言葉の使い方はデザインにとって非常に大事で、デザイナーは言葉と常に向き合うべきだなと思っています。
なんですが、稀にロジカルに測れない言葉の天才みたいな人がいるときがあって、そういう人と出くわした場合、まるっとお任せしてしまうのが最良だったりするので、そういう場合は向き合わなくてもいいかもしれないですね。
さようなら。
若冲展が最高だった話
東京都美術館で開催中の若冲展が、最高という感想しか出ないくらい最高でした。
4/29に行ってきました。だいたい30分待ちで入館できて、館内は混雑してましたが、自由に動けるくらいの余裕はありました。 展示作品は、MIHO MUSEUMをはじめとして、細見美術館、プライスコレクションからの展示もあり、生誕300年記念ということもあって世界の若冲が集結してる感あります。
特に感動した作品
どれも素晴らしい作品なんですが、強いて挙げると、
「旭日鳳凰図」
これを見にきたと言っても過言ではない。何時間でも見てられます。
「紫陽花双鶏図」
感想とか
個人的な感想ですが、若冲の特異性は執拗ともいえる緻密な描写と、それを実現する圧倒的な観察眼、そして緻密なのに写実的表現に至らない幻想的な印象だと思ってます。
今回の展示では、作品の一部を拡大プリントしたコーナーがあるのですが、肉眼では確認することが難しいほど細部が書き込まれてることがわかります。若冲といえば鶏...というほど鶏の絵が多く、描きこみもすごいのですが、鶏冠の描写など狂気すら感じます。
若冲は、観察のためにいろんな種類の鶏を飼っていたらしいですが、観察の結果、絵画に落とし込まれる表現は現実の模倣とは言い難く、写実的なのに現実的ではない不思議な感覚を与えます。また、若冲の好むモチーフとして、鶏、鳳凰、象、などがありますが、まるでデジタルコピーしてきたかのようにほとんどの絵画で同じ表情だったりして、それも不思議な感覚を与える一因なのかな、とも。今回展示もされている、一つの画面に多くの同じ表情の犬が描かれる「百犬図」とか、見ようによっては結構シュールだったりします。
まとめ
若冲最高。
図録も出来がよいのでオススメです。
僕が猫を飼えない理由
僕が猫を飼えない理由はだいたい百個くらいあって
ひとつめは飼ったらもう外に出れなくなりそうだった
ふたつめはその瞳が僕を誘っていること
みっつめはたまにいく猫カフェでいいかな
なんて思っていること
ぜんぶ俺の嫁。 https://vell.jp/u/ottiee/articles/MjAxNzkwMTY
猫カフェ最高。めっちゃ写真撮った。
猫が好きな方や冒頭の元ネタが分かる方は友だちになってください。