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not simple

デザインと言葉の実験です

デザイナーは抽象と具象の間を這いずり回る

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前回デザインについて感性と論理の2軸で書いたのですが、抽象と具象の2軸も良く考える話だな、と。

けっこう常に意識的にしている観点なのですが、社内のデザイナー向け勉強会で使う「新人デザイナーにデザインのレビューをするときに注意してる10のこと」みたいな資料をまとめている際に

「具体的で細かい指摘をしている直後に突然抽象度の高い話を振って混乱させて惑わせる思考を活性化させる」みたいな章があったので、改めて言語化しておこうというものです。

具象化すること、抽象化すること

デザイナーにとって抽象化する力と具象化(具体化)する力を兼ね備えている(もしくはきちんと意識している)というのはジャンルに限らずすごく大事だと思っていたりします。

まあすごく雑にいうと「ふわっとしたものの本質を捉え(抽象化)、目に見える形にする力(具象化)」を持っている、みたいなかんじでしょうか。

具象化する力

こちらは比較的わかりやすくて、ある程度要件が見えたタイミングで、早く正確にアウトプットできる力だと思っています。

たくさんの良いものを見たり聞いたり、勉強によって王道やアンチパターンをたくさん覚えたり、経験によって脳内にビジュアルが浮かび上がるまでの速度が上がったり

そもそも数をこなせば手は早くなったりするので

具象化する力は怠らなければ自然に伸びていくと思われます。

とはいえ経験がまだそんなにないデザイナーには「いいから手を動かせ」というワードを頻発します。

後述する抽象化する力が育っていても、それを形にする力が育ってないと、デザイナーとして完結できないというのもあります(少なくともお仕事として)。

余談ですが、アンチパターンをたくさん見ておくと、自分でやらなくなるのでオススメしています。バスや電車の広告、特に弁護士事務所のそれとかオススメです。

抽象化する力

抽象化とは、Wikipediaから引用すると「対象から注目すべき要素を重点的に抜き出して他は無視する方法」とのことです。

これまた雑にいってしまうと、「対象や要件の本質をとらえる」みたいなかんじでしょうか。

雑な例をあげると、

「Twitterみたいなサービスを作りたいんだけど、なんかこう、やっぱり水色っぽい感じで」

「ウェブサイトのリニューアルをしたいんだけど、なんかこう、かっこよくしたい」

「花を使ったデザインというのは決まっているのだけど、なんかこう、いくつか提案いただいて良いですか」

「なんかこう、もう少しシュッとした感じに」

「なんかこう、いい感じに」


極端な例だと思いますか?残念ながらよくあります。

こういったふんわりしたオーダーから、モノの本質やクライアントの意図などを抽出・還元する力もデザイナーには必要で、「問いかけ引き出す力」といってもよさそうです。


雑な例をそのまま再利用すると

Twitterみたいなサービスを作りたいんだけど、なんかこう、やっぱり水色っぽい感じで」

サービスで提供したい価値とは?色は提供先のユーザー属性に合わせて調整したほうが良いかと思われます。

「ウェブサイトのリニューアルをしたいんだけど、なんかこう、かっこよくしたい」

リニューアルの意図とは?継続的なメンテナンスができなければ、むしろ作らないほうが良いかもしれませんね。

「花を使ったデザインというのは決まっているのだけど、なんかこう、いくつか提案いただいて良いですか」

花を使う意図とは?顧客に提供したいイメージを一緒に考えませんか?

「なんかこう、もう少しシュッとした感じに」

シュッとは?

「なんかこう、いい感じに」

いい感じとは?いい感じとは?いい感じとは?いい感じとは?いい感じとは?いい感じとは?

あなたのいい感じを把握するまで私は質問をやめない。




このように、オーダーに対してきちんとその意図や成し遂げたい本質を引き出すことも一つの大事な素養なのだろうな、と思っています。

意外に根気の必要なことなので、一番大事なのは、デザイナー自身が問いかけることをあきらめないこと、なのだと思っています。気持ちの問題です。

デザインは正解を得る確固たる手法がないという悲しい世界なので、打率を上げるためにも、根元の部分をきちんと確認、引き出す力が必要かな、と思っています。

まとめ

抽象と具象の間を上手に渡り歩いて、どちらの力も育てていけるのがデザイナーとしてはハッピーなのかな、と思います。


なお、タイトルが「デザイナーは抽象と具象の間を這いずり回る」という地獄感があるのは

バファリンロキソニンが効かない悲しい頭痛で這いずり回りながら書いているからです。

特にバファリンには絶対の信頼を置いていたので残念ですね。