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デザインと言葉の実験です

中之条ビエンナーレ2015に行ってきた話

群馬県の西部、吾妻郡で開催されている中之条ビエンナーレに行ってきた。この記事を書いている10月12日で終了。

中之条ビエンナーレとは

中之条ビエンナーレは2年に一回開催されていて、大きく分けて「中之条・伊勢町」「伊参(いさま)」「四万」「沢渡・暮坂」「六合(くに)」の4エリアで展開されている。車での来場をおすすめされているほどエリアは広い。土日祝日限定の1日バスツアーとかもあるみたいだけど、1日で回れるのは1エリアのみ。まあそのくらい広い。印象に残った作品を何点か。

@中田木材

加速する時間 / 加藤崇

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まばたきして、まばたきして、忘れる。 / 魚住哲宏+魚住紀代美

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Little boy looking at me 堀越達人

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材木工場を利用した展示。すごく地域性が強くていい。

@魚とも

Sushi / 飯野哲心

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自分が寿司のネタになるという作品。こういうシンプルな体験って強いな、って。

@旧廣盛酒造

境 / 大石麻央

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いきるかたち / KANNO X KANNO

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聖域 / 藤原京

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酒蔵での展示。静謐な感じが作品と合っていてよかった。

@積善館とその周辺

wet / 藤林悠

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四万あかり / 山重徹夫+地元のみなさん

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四万温泉で宿泊したけど、けっこうよかった。夜のライトアップはLEDじゃなくて、灯りの暖かさも感じられてよかった。

@旧第三小学校

電球都市/ 村上郁

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失われゆくもの。 / 白鳥友里恵

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床に敷かれているのは米です。

@丸伊製材

美しき星の儚きものたち / 嶋津晴美

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光の独白 / 鈴木のぞみ

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単純に綺麗で美しい。こういう文脈いっさい必要なくビジュアルとして綺麗なものはやっぱりすてきだ。

@旧伊参小学校

Empty Garden / 作者不明

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sightseeing room in ~NAKANOJO~ / 下村千成

体育館の暗闇の中で存在しないはずの壁をライティングを使って作り出し、知覚の混乱を体感させる作品。真っ暗なので写真はないけど、なかなか楽しい作品だった。

降り積もる光の秒数 / ユイ・ステファニー

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今回の芸術祭ではここが一番好きだった。使われなくなったプールをカラフルに彩るなんて、芸術祭らしくて良い。

所感

草間彌生さんとか誰でも知ってるような高名なアーティストの作品があるわけでもない。だけど、芸術祭の最も重要な要素だと個人的に思っている「地域性」が強く意識されている芸術祭なのですごく好みだった。

「地域性」っていうと小難しいけど、要は「なんでそこで芸術祭やってんだっけ?」っていう腹おち感というか。これをきちんと意識してデザイン(設計)しないとどっかの離島に唐突に原色のカボチャのオブジェとか置いちゃったりして「これなんでここで見てるんだっけ?」ってことになりがち。

会場が材木工場だったり(詳しく調べてないけれどこの地域は林業が盛ん、もしくは盛んだったっぽい)。 地元の営業中の魚系の食事処の一部に作品展示があったり。 酒蔵を会場にしたり。

そしてそれぞれの会場が持つ文脈の上で作品が展示されている。これは素晴らしい。 次回開催は2年後。また行きたいな、と思える芸術祭だった。


余談1

ランチ休憩で入ったお店で、地元の気の良い、なぜか英語とフランス語を織り交ぜておしゃべりするおじさま(多分に酔っていらっしゃる)に地元の名物を奢ってもらった。ごちそうさまでした。

「美大生?』って聞かれたので、そろそろ年相応のかっこしなきゃだめだな、って思いました。

余談2

この芸術祭をネタにして社内の勉強会的なアレで展開したのですが、love art/music/cafe and more... 的な人をターゲットにした芸術祭の体験設計、みたいなテーマを選んでしまったため、話の半ばで闇に落ち、暗転する資料を作ってしまったことは内緒です。